初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「「乾杯」」
今日のワインは赤。
赤ワインは苦いというか渋いイメージがあって得意じゃないけど、お母様のお勧めとあってはそうもいっていられない。深いボルドーの色合い、そして華やかな香りに興味をそそられる。少し口に含むと、
「あれ?これって」
「ん。これならクルミちゃんも飲めるな」
深い味わいなのに、口当たりがいい。華やかな香りも相まってお酒が進みそう。
「うん、お母様ってすごいね」そう言ってからもう一口飲んだ。
「今回はグラスも一緒に送ってきたからな。ま、でも。これだからこの味になるんだな」
「え、グラスも?」
拘りがあるっていうのは知ってたけどそこまでとは思わなかった。
物があまりない相良さんの家にグラスだけ種類が多かったのは、そういうこと?
「お気に入りの酒見つけるたびにセットで送って来る、家にあるのはほんの一部」
これで?二客ずつあるみたいだけど、かなりの数。さぞや実家は……、
「はは、今度うちの実家に見に来ればいい。母さんもそう言ってたし」
サラっと言ったけど、相良さんの実家って気軽に行ける距離じゃない。
お母様も確かに遊びにいらっしゃいと言ってたけど……。