初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「え?」
「あー、あのさ」
こんな時、どういう態度を取っていいのかわからない。そうだね、って軽く流せばいいものを聞き返してしまった。それに対してバツの悪そうにする相良さんの態度は当然と言えばそうだ。
さっきまでの楽しい雰囲気が一気に冷めた感じがして、
「……うん」
本当にどうしようもない。そのまま項垂れてると、
「どうしてサラっと言えないかな、俺は」
それは私に対してではなく自分?驚いて顔をあげると、
「母さんが言ったからじゃなくて、一緒に旅行行きたいなと思って」
「旅行?」
「うん、年末から考えてたけど、うまく時間取れなくてってそれは言い訳か」
あんなに忙しくしてたのに、考えてくれてたんだ。
「嬉しい!行きたいっ旅行」
「そっか、良かった」
本当にホッとした様子の相良さん。そんなの断るわけない。いつも少しでも長く一緒に居たいと思っているのに。
あれ?でも、さっき実家って、
「あの、実家って?」
「あぁ、行きたいとこが実家の近くで。まぁ近くってのも県内ってだけなんだけど」
色々話が繋がって、ホッとしたと同時に湧いてきた疑問。
「もしかして、ずっと言おうと思ってたの?」
「まぁ、あれだ。いつもクルミちゃんには我慢ばっかりさせてるから」
「我慢なんて、してないよ」
「ま、ともかく。二人だけでゆっくりしたくて」