初恋のカケラ【3/13おまけ更新】

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久しぶりにぐっすり寝た気がする。
きっとそれは、後ろからお腹に回されたその手に包まれてるからなのか、疲れきって寝たからなのか。
そこはなんとも自分でも苦笑するしかない。

けれどこの腕に包まれていると安心するのは間違いない事実で、そんな毎日が続けばいいと思う。
だけど今日は朝ご飯を作ると心に決めて家から準備してきているから、手早く着替えてキッチンに向かう。

朝ご飯のメニューはパンケーキ。それを焼いて他食材とプレートにちょっと盛るだけ。
フライパンしかない相良さんの家で出来ることと言ったらこれぐらいで。というか今の私の力量に見合う朝ご飯とも言える。練習がてら自分の分を焼いているとドアの開く音がして其の方に目線をやる。

ビックリした顔の相良さんと目が合う。

「え?なんかいい匂いと思ってきたけど」

「あ、うん。キッチン借りてるね?」

近寄ってきた相良さんの髪の寝ぐせにクスリと笑いを洩らす。

「わ。クルミちゃんの朝ご飯とかスゲー嬉しい」

その顔が本当に少年みたいに輝いていて、いつかずっとこの笑顔を見ていたいと、もう一度強く心の中に思った。
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