初恋のカケラ【3/13おまけ更新】

「どうも、こんにちは」

あいかわらず先輩にはちょっと冷たく言い放つ。

「ふっ、そんな牙向かなくても。もう手出さないって」

両手をあげ、降参のジェスチャー。

「まぁ前科がありますからね、念のためです」

トゲトゲしく言って私を守るように隣に並ぶ。

「今日は友人の結婚を祝いたくて参加してるだけだよ」

「そうですか」

「でも、クルミが元気そうで良かったよ」

また相良さんが何かを言いだす前に私が口を開く。

「はい、元気です。先輩も元気そうで良かったです」

相良さんが隣に並んでくれて気持ちが落ち着いた。今なら普通に話せる。隣で相良さんは私を見守ってくれてるから。

「うん」

「愛歌の友達が先輩の事騒いでました。あいかわらずモテますね」

「はは、そうでもないよ」

あ、言いすぎた?嫌味っぽかった?
調子に乗り過ぎたかも知れない。そう後悔してると、

「この前と二人、雰囲気が違うね」

「へ?」
「は?」

「全く同じ反応だ。ちょっと妬けるね」

雰囲気って、どういうことだろ。相良さんと顔を見合わせる。

「今回本当に納得した。お幸せにね」

そう言って先輩は自分の席に戻ってしまった。

お幸せに、確かに今そう言った。
< 715 / 820 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop