初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「俺達も席戻ろうか。そろそろ愛歌ちゃん戻るって」
いつの間にそんなアナウンスあったんだろう。全く気付かなかった。
相良さんが私の背にそっと手を添えてくれて、席まで戻った。
両親もすでに席に戻ってきている。
会場の照明が落とされ入口にパッとスポットが当たる。
今度は色ドレス。さっきとは違い華やかで、やっぱり綺麗。
「クルミちゃんの妹も綺麗だよな」
隣でぼそっと呟くように言う相良さん。
「もっていうか、妹はね。女子力私より高い」
「はは、そんなことないだろ?」
「堅実的だし、いい奥さんになると思うよ」
「そうなんだ。でもきっとクルミちゃんのドレス姿の方が綺麗だろうな」
「ないない、そんなことない」
妹より二歳上の私。三十路のドレス姿が二十代より綺麗なはずない。
「……楽しみにしてる」
私の言ったこと、全く聞いてない。っていうか、楽しみにしてるって、何。
え、と?目をパチパチしていると続けて「一番近くで見せて」そう耳元で囁かれた。
ひと際大きくなる鼓動に赤くなっているだろう顔。照明が落ちてるとはいえ、隣にいる相良さんには隠せない。だからそういうことサラッと言わな……
え?一番近くでって?そういう、こと?