初恋のカケラ【3/13おまけ更新】

「正直、クルミは俺と二人では会わないかと思ってたよ」

まだ酔いも回ってないうちからこんな話しするなんて思ってなくて少し焦ったけど、やっぱりそれだけ先輩の中では気になってた事なのかな。

だとしたら、悪いことしたな……。

「メールの返事しなかったから。ですか?」

ストレートに聞いた私の言葉に目を伏せて手元のグラスを見る先輩。


―――――カラ、カランッ


先輩の手の中でいい音をたてたグラスの氷を同じように見つめる。


コトン。


テーブルにグラスを置くと、そのまま呟くように言った先輩。

「もう、後悔。したくなかったんだよ」

その言葉にドクリと胸の奥で音がなる。
あの時こうしておけば、とそんな事を思ったのはここ最近で何度あった事か。

「……でも、急ぎ過ぎたな」

「え?」

先輩が後悔したくなくて焦った事。
過去にも思った事?

それって、

「でも、この際だから言っておくよ、クルミ」

体を幾分こちらに向けてから伏せていた視線が私を捉える。

「もう、後悔したくないから。今回は全力でいくから」

「はい?!」

なんとなくはわかるけど。
でも、あの。それって?
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