初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
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「聞いてくださいよ、クルミ先輩」
すでに聞く準備は整ってる。というか、駆けつけビール一気飲みとか今までにない様子の愛羅ちゃんに驚いて固まってしまう。
「う、うん」
ダンっとテーブルの上に置いたジョッキを強く握りしめたまま下を向く愛羅ちゃん。
顔をあげた瞬間、泣きそうな顔をしていたのには驚いた。
「クルミ先輩。彼の元カノって会ったことあります?」
元カノ?
「どうかな、あんまり記憶ないけど」
でも、愛羅ちゃんってそういうの全然気にしなそうなタイプに見える。今の彼女は私なんですからって。
「元カノっていうか初恋の人ってのですけど」
さっきの勢いづいて言ったのとは打って変わってボソボソと小さな声で言葉を続けた。
初恋の人?ふと思い浮かんだのは坂下くんの顔。
私が初恋と聞いて思い浮かぶのはその人で。そういえば自分じゃなくて相手のって気にした事がない。
「たぶん、ないんじゃないかな」
覚えてる限りではないと思う。
自分がその初恋の人だった事はあるけれど……
「私。会っちゃったんですよ、この前の金曜日に」
あぁ、なんか彼の同窓会があるって言ってたっけ。
そこで昔の愛が再燃したりしたらどうしようなんてランチの時冗談で話してたけれど……。