初恋のカケラ【3/13おまけ更新】

「冗談なんかじゃなかったんですって」

さすがに愛羅ちゃんも覚えてたか。「そんなドラマみたいな事ないですって」その時はそう言ってたのに。

「でも愛羅ちゃん、彼の部屋で待つって言ってなかった?」

「待つつもりでしたよ!でもっ」

ってことは違ったのか。どこかで待ちあわせしたとか?そのまま続く言葉を待っていると、

「お泊りセット忘れちゃって。っていうか、もう家で使ってる化粧品もなかったからデパートに行ったんですよ」

こんな風に言い訳するって事は、ちょっとは会えるかもって期待してた?

「そっか」

「まぁ、会えたらいいなって思ってましたけど。ていうか偶然会ってお友達に冷やかされながら紹介されるっていうの期待してたっていうか。」

「うん、そういうのってちょっと嬉しいよね」

「そうなんですよ!でもまさかっ、バッタリ会ったときに親しそうに歩く二人を目撃してしまうなんて、そんなの思ってもみませんでしたよ!」

「二人?」

「や、正確には二人じゃなかったんですけど、私には二人に見えたんです!」

二人の距離が近かったのならそう見えたのかもしれない。だけどただの同級生だったら距離が近い事は……ないよね。
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