初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
予定していた電車に乗り、ホッと一息つくと、隣に座る相良さんがポケットからスマホを取りだした。

「鈴木さんからだ」

愛羅ちゃんもさっき、今日会うって言ってた。元カノの件もあったから鈴木さんも相良さんになんか話してたのかな?いや男の人はそう言う事あんまり友達に話したりしないか。

画面を見てすぐにスマホをしまう相良さん。

「いいの?返事」

「あぁ、大丈夫」

「ふふ、相良さん。あいかわらずメール苦手よね?」

いつも一行だし。家にいそうな時間なら電話がかかってくるし。

「ん?パソコンならいいけど、考えに文字を打つスピードがついてこないからな」

パソコンみたいに慣れればそれも早く打てるんだけど。異常な速さでメールを打つ相良さんって想像できないかも。

「そっか」

「俺が鈴木さんみたいに顔文字満載で送っても怖いし」

笑いながら言う相良さんのそんな姿を想像すると、やっぱりそれも怖い気がして。

「ふふ、そうかも。」

「だろ?」

「でも、電話の方が嬉しいかも」

確かにメールは便利だけど電話なら声聞けるし。あ、れ?相良さん、固まってる。

「……最近クルミちゃん。素直でいいけど」

素直?まぁ事実。そう思ったから言ったんだけど。

「サラッとそういうの言われると……」

少し照れた相良さんが可愛い。
肝心な言葉はまだ言えないけど、少しずつ自分を出せてるのかな。だとしたらそれは「相良さんだからかな。」そう言うと驚いた顔をした後ですぐにニッと笑い、

「はは、そうならスゲー嬉しい」
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