初恋のカケラ【3/13おまけ更新】

「せっかくなので、私も言っておきますけど」

「ん?なにそれ。悪い話?」

だったら聞きたくないけど、なんて言いながらもきちんと聞く体制を取る先輩。
その様子を見て話を続ける。

「正直、先輩が随分と素敵になってたのでビックリです。あ、これイイ意味ですよ?それに、こうやって一緒に飲んだりするのはすごく楽しいです。」

「ん。それはありがたく受け取っておく」

微笑んでグラスに一口口をつける先輩。
うん、そう言う所。男としての色気がすごくある。

「そんな先輩に興味があります。」

「お、それは光栄だね」

キッパリ言った私に嬉しそうに顔を緩ませる。

「そんな気持ちで先輩に会ってもいいですか?」

「うん、今はそれで十分。だって興味あるんでしょ?」

そうストレートに聞かれると困るけど。自分で言った事だから仕方がない。

「ま、まぁ……そうですね」

「あの頃より、随分といいポジション」

満足げにいう先輩。
でもあの頃って言葉が引っかかる。
だってあの頃って言って差すのは一つしかない。

「あ、あの。あの頃って……?」

「そういうのは小出しにするのがいいんだよ、クルミ」

なんだか誤魔化されてしまった。そして、

「ま、おいおいな」

そう言って先輩はグラスを置くと、マスターに二杯目をオーダーした。
< 74 / 820 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop