初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
遅い時間の大浴場に他には誰もいなくて、まるで貸し切り状態。部屋付きのヒノキ風呂もかなり興味をそそられたけど、やっぱり来てよかった。

女友達とくれば色々話しながら半身浴するけど「またあとでね」と言って入口の前で別れた事を思い出しいつもより早めにそこを出た。


「早かったな、クルミちゃん」

「あーごめん、急いだんだけど待った?」

「いや、全然。俺も今出たとこ」

ニッコリ笑った相良さんの浴衣姿が素敵でちょっと見惚れてた。
背が高いってズルイ。いや、相良さんの場合それだけでもないのか。

「湯冷めしないうちに戻ろうか」

目の前に差し出された手。この大きな手がいつも私を導いてくれる。
その手をキュッと握って隣に並ぶ。

「お風呂すごくよかった」

「こっちもなかなかいい岩風呂だったよ」

やっぱり男湯と女湯でタイプが違うんだ。岩風呂も見てみたいけど男湯なら仕方がない。

「お部屋のヒノキ風呂もすごい楽しみ」

「だな。」

「いい香りしそうだよね」

「ん。あとで一緒にはいろ」

って、耳元でなんて事言うの相良さん。

「なっ、」

「早く戻ろ」

動揺する私を尻目に涼しい顔で隣を歩く相良さん。

あとで、一緒に?考えないでもなかったけど、改めて言われると……
相良さん、優しいのか意地悪なのかわかんない。
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