初恋のカケラ【3/13おまけ更新】

「風呂上がりのビールといきたいとこだけど。今日はコレ」

テーブルに置かれたのは小瓶。たぶんに日本酒。冷蔵庫から出したのかな?
たしかに温泉と日本酒ってセットのイメージ。目の前にコトンと置かれた小さなグラスを手に取り前へ差し出した。そこに少しだけ注がれたお酒。

「ありがと。」

そしてそのまま手酌する相良さん。

「何に乾杯しようか?」

「んー、初めての旅行に?」

「おっけー、確かにそうだ。んじゃ初めての旅行に」

カチンと音がして少しだけ口をつけた。冷たいそれが喉に流しこまれてふわっと鼻に抜けて香る。

「おいし。」

目を細めて美味しそうに日本酒を飲む相良さん。喉仏が上下に動いてそんな姿にも色気を感じる。
まだ酔ってないはずなのに、何考えてるんだろ私。やっぱりこれも旅行マジック?

「ん?」

あ、視線を感じたのかコトリとグラスを置いた。
その大きな手に持つグラスは余計に小さく見える。同じグラスなのに。

「ふふ、美味しいし、幸せだなって」

「だな、酒は美味いし、クルミちゃんは可愛いし」

途端顔に集まった熱。お酒のせいだと思いたい。

すっと伸びてきた手。大きな手が頬に触れる。その冷たい指先が気持ちいい。
ふっと笑ってそのまま髪を撫でる手。


うん、やっぱり相良さんの手が好き。
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