初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「やっぱ眠そうだな」
ひんやりしたその手が気持ちいいから目を閉じただけ。
「んー、そんなことないよ」
その存在が嬉しくて幸せだと思った。相良さんは私をいつもそんな気持ちにさせてくれる。
「さすがに仕事後の移動は強行軍だったか」
「ううん、そんなことない」
長い時間一緒にいられて嬉しい。
「ん、でも明日もあるから早く寝ておくか」
「もう寝ちゃうの?」
その言葉にピクリと反応した相良さん。
あ、相良さんだって疲れてるかもしれないのに、そんなこと……。髪を撫でていた手でその後ポンポンと優しく背中をたたくと、
「ベッドに入ってたら寒くないし、いつでも寝れるだろ?」
「……そう、だけど」
「それにここだと少し遠いからな」
「え?」
「ほら、行くよ」
私を椅子から立たせると寝室の方に歩いていく。
さっきは露天風呂しか見なかったけど、寝室はモダンでまさに大人のくつろぎ空間って感じ。
「わ、素敵」
「だな、ここならゆっくりできそうだ」
先にベッドに入った相良さんが「おいで」と言って手を伸ばしてきたから吸い寄せられるように手をつかんだ。
ベッドに入った私に布団をかける相良さん。そんな事したらすぐに寝ちゃう。もっと話していたいのに、私のその思いとは裏腹に睡魔はすぐに襲ってきた。