初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「あとさ、クルミにお願いがあるんだけど」
「なんですか?金銭面以外ならいいですよ」
私が笑いながらそんなことを言うと、
「おいおい。クルミから金巻きあげようなんて思ってないよ」
苦笑いしてそう言った後、少し言いづらそうに
「先輩っての、やめてくれないかな。……この年で先輩とか言われると、なんつうか」
「でも、外山先輩をそれ以外で呼ぶのなんて、……んー。外山、さん?」
「……それもへん」
「外やん?」
「ヤダ」
瞬間で否定する先輩のその言い方がやけに子供みたいで、
「やだ、先輩。それ、かわいい」
笑いながら先輩を見ると目元が少し赤らんでクッと口を閉じてる。
普通になんか返してくるかと思ったのに、そんな風にされると……
「……せん、ぱい?」
やだ。
なんだろ、これ。
色気のある仕草と今のこの行動のギャップに、胸が高鳴ったりして。
あぁ、そうか、これなんだ。外山先輩の魅力のひとつは。
答えがわかると妙に納得したりして。
「次、までの。宿題にさせてください」
まっすぐ先輩を見てそう言うと、少し目を見開き驚いたような様子を見せたけど
「ん、わかった。楽しみにしてる」
やっと自分を取り戻した先輩が少し意地悪な顔でそう言った