初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「明日は午後からゆっくり家出れば十分だな」
「うん、」
いつもなら金曜に会ったらそのまま相良さんの家に行くけれど……
「どうする?クルミちゃん家、寄る?」
「あーっと。ごめん今日は帰る」
相良さんはスルリと頭を撫でると微笑んで
「ん。わかった。明日迎えに来るよ」
自分で断ったのに、あっさりとそれを許してくれる相良さんに物足りなさを感じる私は相当我がままだ。
なんとなくモヤモヤしてる。こんな気持ちのまま相良さんと一緒には居たくない。
触れている事でそれは緩和されるけれど、またふとした時に思い出す。
桃華ちゃんの存在は、どうして私をこんな気分にさせるんだろう。
結婚するのは私だし、桃華ちゃんだって婚約者がいる。それなのに。
「じゃあ、また明日」
マンションの前で別れ、家へと一人で戻った。
部屋に入りスマホを取り出すとメールが二件。
一つ目は愛羅ちゃんから、今日のお礼。もう一つは、
『もしもし、クルミ?』
「うん、ノリちゃん。メールありがと」
『旅行行くって言った後、音沙汰ないからどうしたかなと思って』
そうだ、ノリちゃんに相良さんの実家に行く話をしていたのに。なんだかその後の急展開ですっかり連絡するのを忘れてた。はじめて行く実家での振る舞いについて、あんなに色々聞き出しておいてほんと私って薄情だ。