初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
『報告のつもりだったけど、お願いになるかも』
「ん?どういうこと?」
『クルミの結婚式絶対出たいから』
「え?あ、うん。ありがと。」
『出産日の前後一カ月はやめてね』
シュッサンビ、ってことは。
「え?もしかして、赤ちゃん?」
『まぁ、そんな呼び方もあるわね』
そんな呼び方って。ノリちゃんったら、照れてる。
「おめでとう」
『ありがと。そういうわけだからそこだけは避けてね』
「ノリちゃんがママかー。私の子、同級生にしたかったなぁ」
『今なら間に合うんじゃない?』
「え?!」
いや、確かにそうなったら楽しそうだけど。子供同士が恋愛とか、なんだか色々妄想してしまう。
『……というわけだから、しばらく飲みには付き合えないからね』
「あ、うん。わかった」
『どうせクルミの事だから聞いてなさそうだし。聡経由で相良さんにもお願いしとくわ』
「え?あ、はい。オネガイシマス」
『クルミ。』
「ん?」
『……ほんと、よかったね。結婚式。楽しみにしてる』
ノリちゃんが急に真面目な声で言うから。なんだかグッと来てしまった。
お母さんになるからなのか、心なしかいつもより声色が優しいような気さえする。もう、なんか涙が出そう。
電話を切った後、モヤモヤしていた気持ちは薄れて、先の未来に目を向けようという気になっていた。