初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「だからさっき待てそうにないってクルミちゃんに懇願してた所」
「ちょっと、相良さん。懇願って」
慌てて訂正させようとするけど、堂地さんも桃華ちゃんも笑ってる。
「ま、桜が咲くのは春だけというわけではないですし」
「は?まじで?」
「ええ、それに日本以外でもありますしね」
あぁそういえばアメリカでどうとかニュースで見たことあるような……
「詳しくはわかりませんが、桜に拘るんであれば季節や場所を問わなければ方法はいくらでもあるという事です。」
そこまで言って堂地さんは、
「うちもそろそろ考えないといけないですね?モモ」
メガネの奥の瞳が優しく弧を描き、桃華ちゃんに優しく問いかけた。
「え?!あ、あの、え?」
婚約もしていて、一緒に住んでるんだし。いつでも言う機会はあっただろうに今ここで言うあたり、堂地さんてなんか……
「じゃ次のボトルが来た時の乾杯はそっちだな」
ハハッと笑ってグラスのワインを飲み干す相良さん。
その態度からも二人の関係を祝福してるのは良くわかった。付き合いはそう長くはないけど、私も二人の結婚を祝福したい気持ちは一緒。
「桜の件は相良さんがしびれを切らさないように願ってますよ」