初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「あの、さっき……」
見てたのは?そう言葉が続けられなくて詰まる。
「あぁ、綺麗な宝箱があるなって」
何でもない事のように言う相良さん。
……だけどきっと開けてみたよね。宝箱の形をしたシルバーのジュエリーボックス。
一目で気にいって購入したものの、入れるには小さすぎる。だから飾棚に置いておいたのだけれど。
ネックレスが壊れたあの日にそこに入れた記憶はある。その時はあとで直すつもりだったのだけれど。
「結局、何か入れるには小さくて」
うん、言い訳がましい。自分でもよくわかってる。けど。
「……ごめん。中、開けてみた」
なんて言い訳しようとか考えてた私は、相良さんのその言葉で思考が停止する。
あぁ、やっぱり。見たんだ。
「……そか」
「あー、ちょっと箱から鎖が出てて……いや、ほんとごめん。」
ごめん?中を見たことを謝るって事はやっぱり、それが何か知ってるから?
気まずそうにコーヒーカップに視線を落とす。相良さんが悪いことなんて一つもないのに。
「相良さん、あのね……」
今私が言わなければいけない事。それは言い訳じゃない本当の事。