初恋のカケラ【3/13おまけ更新】

「なんか悩んでんの聞くよなんてかっこつけて言ったけど、全然そんなんじゃないんだ」

「え?」

「まだあの人に気持ち残ってんのかとかそんな事ばっか気にしてた」

「残ってないっ」

その腕の中でモゾモゾと動きながら言う。

「あーマジで見ないで。俺、情けな―――」
「そんなことないからっ」

その腕から何とか抜け出て、顔を伏せる相良さんの言葉を強く否定する。
不安だったのは私だけではなく相良さんも?

「あのね、先輩の事は相良さんのおかげでホントに全然、全く気持ちなんて残ってないの。残ってなさ過ぎて忘れてたって言う情けない状況で。」

かっこ悪いのは一緒。ていうか、

「ごめんなさいっ、頭ではわかってるんだけど。どうしても相良さんと桃華ちゃんが気になっちゃって。」

「桃と?」

「……うん、」

「イトコにしちゃ仲いいからな。俺にとっては可愛い妹でしかないんだけどな」

「……そう、なんだ」

「桃が生まれた瞬間から俺が守るべき存在だと思ってきた。だけど、クルミちゃんと出会ってからその考えが何か違う事に気づいた」

「……違う?」

「前にも言ったかもしんないけど、クルミちゃんとは一緒に成長したい」

「あ、」

そうだ。前にそれ言ってくれた事がある。
こんなに何でもそろってる相良さんが成長なんておかしい気がしたけど、一緒にって言うのがキーワードだったんだ。
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