初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「……たまにはこういうのもいいな」
私に頭を抱きかかえられたまま相良さんは少しこもった声でポツリと言う。
すぐに拘束を緩めると、相良さんが私を見上げていた。普段とは逆の位置。
いつもは堂々としている相良さんのちょっとだけ弱い部分。
私と同じように疑ってみたり不安になったりする。それを見たら前よりも愛おしく思えた。
「いつもでもいいですよ?」
「……その申し出は魅力的だけど遠慮しとく」
……やっぱり私に甘えるのは気が引けるんだろうか。
「あーいや、クルミちゃんに甘えられないんじゃなくてさ。」
いつものように私の肩を抱き、相良さんの方に引き寄せられた。
「俺がクルミちゃんの前でいいかっこしたいだけ」
はは、って笑っていつもの相良さんに戻る。
いつだって相良さんはかっこよすぎるから。会うたびに好きが増えてそれについていけない私が不安になってただけ。多分こんなにも深く人を好きになった事がなかったから。
「今でも十分かっこいい」
「クルミちゃんに言われるとやっぱ嬉しい。」
そう言えばこんな風に言ったことなかったかもしれない。相良さんも私と一緒で、思っている事を言ってくれれば嬉しいんだ。結婚しようとまで思ってたはずなのに、今この発見って。
《好き》以外の言葉も大事。
気持ちは言葉にしないと相手には伝わらない。