初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「クルミ、なにしてんの?」
「あー、おつかれさまです。外山(ソトヤマ)先輩」
挨拶してから、チラリと外の方を見て「今日は奴に負けました」と言うと、
「はは、ダメだなー。クルミ、明日は負けんなよ?」
ダメって。ていうか明日は負けんなよ?
って私の場所を取り返してはくれないらしい。
そこはやっぱり、私の場所ではなかったということか。
先輩は自分の楽器ケースを持ち、すぐに音楽準備室を出ていった。
外山先輩とのこんなやり取りも毎度の事で、まさかこれを不快に思う人がいるなんて思いもしなかった。
私も楽器を組み立てて音楽準備室を出ると、そこに3年の女の先輩がいて。
「胡桃澤さんて、ずいぶんと外山くんと仲がいいのね」
「はい?」
聞き間違いかと思った、仲がいいっていうか普通に話してるだけなんだけど。
しかも今の会話のどこに仲の良い要素があったのか思い浮かびもしない。
「別に、私には関係ないけどね?」
は?何それ?
関係ないなら別に言わなくてもよくない?
ていうか私今、すごい理不尽な難癖つけられてる感じ?
一応先輩だから逆らったりしないけど、でも。
その先輩は準備室のドアを開け、私の方を見もせずにバタンと大きな音をたて私の目の前でドアを閉めた。