初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「うわ。それスゲーな」
「へ?」
「……俺さ。自分の名前彼女に呼ばれたの初めて」
「そう、なの?」
「ん。なんか特別な感じがして。呼ばせたことないから」
そうなんだ。あ、でも確かに私もクルミ以外の呼び名で呼ぼうとする人を気付けば阻止してたかも。
先輩も呼びたがったけど、違和感しか感じなかった。だけどもしかしたら相良さんが呼んでくれたら?
「私も。名前の方で呼ばれる事ないから」
「……俺、呼んでいいの?」
というか今この瞬間呼んで欲しいかも。コクリと頷くと。
「訓歌。」
瞬間、少女漫画で甘い言葉囁かれた主人公みたいに脳天打ち抜かれた。相良さんの言う所のスゲーってやつだ。
「今更こんなことやってる俺らってただのバカップルっぽい」
「ふふ、そうかも」
「ま、でもクルミちゃんとならなんて言われてもいいか」
あ、もうクルミちゃんに戻ってる。
今まで散々その呼び方だったのにもかかわらず、たった一度呼ばれただけの名前なのに。残念って思うのは?
「ちょっと相談なんだけどさ。」
「え?」
また困った顔の相良さん。なんか今。私、困らせた?
「クルミちゃんの話し聞くより先に」
先に?
「本能に従いたいんだけど?」
そう言ったあとで口付けをひとつ。
つまりはそう言う事