初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
娘の咲良(サクラ)は、みんなの愛を一身に向けて育ち、今ではめずらしい箱入り娘として成長中。そんな咲良の一番のお気に入りはパパではなく……

「さくら、おおきくなったらおにぃちゃんのおよめさんになる♪」

隣にいる大和さんを見ながら満面の笑みでそう言うと、パパは慌てた様子で、

「お嫁って咲良っ、そんなのまだまだ先の事なんだからっ、軽々しく言ったらダメだ!」

ふふ、子供の戯言なんだから、そんなに慌てなくてもいいのに。

「あはは、相良さん、ムリムリ。そんぐらいの女の子はみーんなそんな風に言うものよ」

「ふふ、潤兄もほっんと過保護」

ノリちゃんと桃華ちゃんに言われて、相良さんはバツの悪い顔をして近くのビールを手に取った。
パパになった相良さんは娘にも、そして私にも変わらずに愛を注いでくれている。

そんな彼に私も。

「また今年みんなと桜が見られて良かったね」

「だな……。」

毎日幸せを感じているけれど、毎年改めてここで幸せの再確認をしている。
娘の成長と共に幸せが重ねられていくそれに感謝の気持ちを込めて。

「あー俺、咲良が大人になるまでにハゲそう」

それでも気持ちは変わらない。そう思いを込めてそっと彼の手を握った。
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