初恋のカケラ【3/13おまけ更新】

「じゃ、現地で一度解散ですね?」

「だな」

「観終わったらミュージアムショップで待ち合わせでいいですか?」

「うん」

「あ、気を使わなくていいですからね?好きなだけ観ててください。私もそうしますし、ミュージアムショップも楽しいですしね」

気を使いそうな先輩に釘を刺しつつ言う。
せっかくの楽しみにしていた時間に突然入りこんだのは私だ。
だからそれを少しでも邪魔したくない。

「クルミはそういうの、気にし過ぎだよ」

中学の時に学んだ事。
それは、他の人に不快な思いをさせたくない。
そこから顔色をうかがうようになってしまったのかもしれない。

合宿のミーティングで言われたあの事がトラウマになってる。
だから人付き合いをうまくすり抜けるためにしていた事が、恋人と呼べる関係の人にも影響してたのかもしれない。

ノリちゃんに言われた『クルミは恋愛をうまくやり過ぎてる』その言葉を思い出す。

「そんなつもりはないんですけどね」

苦笑しながらも、答えるけど。
あの時私は、外山先輩に恋する先輩の事に屋上で悪態をついた。
だけど、本当は好きだと言って告白できるあの女の先輩の事が羨ましかったのかもしれない。
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