初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
三時間ぶっ続けで服を見てるけど、ノリちゃんが首を縦に振らない。
あれほど普通に拘ってたはずなのに、いざ目の前にすると「私っぽくない」で一蹴。

そう言われると強くは勧められない。
困り果てて、しかも疲れた私たちは休憩がてらお茶してる。

「クルミ、……ごめん」

「着るのはノリちゃんだしね、気持ちはわかるよ」

とは言ったものの。

「甘いもの食べたから、少し冷静になれると思う」

「ん。じゃさ、まず互いに譲れないのを出して話していこうよ」



話しあいの結果、

ブラウスではなくシャツ。だけど淡い色合いのもの。
パンツではなくスカート。だけどスリムなタイプのもの。


……そしてさらに二時間後、やっと決定した。


「ほんっと、クルミには感謝しきれない!とりあえず、飲んでっ」

「はは、そんな大げさだって」

「でも、私こういうの初めてで……」

「私なんて一度もないけど?」

そう言って笑って見せた。
だって、一度だってこの人と結婚したいなんて思った事ないもの。

結婚には漠然とした憧れはあった。だけどそれだけ。
でも、ノリちゃんは就職してすぐに彼が出来たって聞いた事がある。
それ以降は彼の話は聞いたことないけど、付き合ってる人はいるって言ってたのに。
< 91 / 820 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop