初恋のカケラ【3/13おまけ更新】

「休みの日も会ってるんだし、家に居る時とかそんな風になったりしないの?」

「聡の家も行った事ないし、うちにも入った事ない」

下を向いて寂しそうに言うノリちゃん。

てことは、近付かないようにしてるとしか考えられない。
やっぱり木村はノリちゃんの事大事にしたいんだろうけど。でもノリちゃんの不安はそれだけじゃなくて、もっと深い所にあるような気がする。

どこまで突っ込んでいいもんか。

ノリちゃんは自分の事を深く聞かれる事を嫌ってた。だから敢えて深く追求しないできたけど、でも今は。

「ご飯作ってあげるとか、家まで送ってとか、言えばいいじゃない?」

普段のノリちゃんなら簡単なことだろう。
だけど、やっぱり木村の前だと……

「ムリ」

そういう事だよね。だったら、

「ノリちゃんてもしかして木村が初恋とか言っちゃう?」

あてずっぽうかもしれない。
だけど、これなら合点がいく。


ノリちゃんは大きく目を見開いたまま動きが止まった。

「……そうよ、悪い?」

「ううん、むしろあの頃の答え合わせができたみたいで嬉しい」

「何それ。クルミの感想、なんかちょっとずれてるわよ」

「うん、そうかもしれない」

でも、それが本当に感じた事。
< 94 / 820 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop