初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
22から五年間ずっと続けてたその恋愛に終止符を打ったのは今年の春だという。
結構最近だった事に驚く。

その間に何回もノリちゃんと会って飲んだりしてきた。
でも、一度だってそれを聞いた事がなかった。

人には言えないからこそ、私にも言えなかったんだろう。
わかるような気がするけど、やっぱりすごく寂しい。

私とノリちゃんの関係は上辺だけでしかなかったのかと思い知らされる。


「……だから、こんな私じゃ聡に悪い」

ノリちゃんにしては珍しい卑屈な考え。
その五年間がそうさせたのか。

「でも、木村はノリちゃんがいいって言ったんでしょ?」

「だって聡はっ、私の事何も知らないもの。あの頃の私しか。」

苦々しい顔で言うノリちゃんに私が言う言葉が正しいかどうかはわからない。
けれど、今思うことは

「……そう、なのかな?あの頃のノリちゃんだけならあんな風にしないと思うよ?」

木村に聞いたわけじゃないけれど、なんとなく今のノリちゃんも知った上で言ってるような気がするんだ。

「気やすめ、だよ。クルミ」

「私は木村じゃないからわかんないよ、でも。そんな大切な事はきちんと木村と話した方がいいと思う」

「う、ん……頭ではわかるんだよ」

あ、また下向いちゃった。
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