初恋のカケラ【3/13おまけ更新】
「へー、明日約束してるんだ?」
「あー、ノリちゃんの約束の後にね。誘われたから」
驚いた顔で私を見るノリちゃん。
「大丈夫、だったの?」
「もちろん。」
当然、ノリちゃんの方が先だし。こうしてるのが当たり前なんだけど。
でも、きっと。ノリちゃんが後でも先輩の方の約束をずらしてもらったかもしれない。
「なんか、先輩とうまくやってるんだね?」
「うまく、かどうかわかんないけど。先輩とは一緒に居て楽しいよ」
「そう、」
また下を向き、寂しそうな顔をするノリちゃん。
「聡は、私といて楽しいのかな?」
「当たり前でしょう?じゃなきゃ何度も会わないし。それに…―」
「結婚前提なんて言った事後悔してるかもしれないじゃない」
どうも卑屈過ぎる。
人が後ろ向きな考えだと、自分は前向きになるしかなくて。
五年の誰にも言えない恋愛がそうさせているのだとしたら……
「ノリちゃん、木村は木村だよ?今の木村をよく見てあげて?なにより木村と向き合ってみたら?」
「……、」
結婚しようっていうんだから、向きあわなくちゃいけないと思う。
流されて結婚して、それでいいわけない。
初恋だからって言っても、あの頃とは違うから。