キミのことは好きじゃない。
颯斗への気持ちを自覚した途端振られて、辛くて、苦しくて。
それでも颯斗の隣から離れられなくて、私は彼の親友という位置に固執した。
その為には、私は颯斗のことなんて好きじゃないと……彼への恋慕はないことを周囲にも知らしめなくてはならなかったから……だから、告白してくれた先輩の気持ちを利用した。
私の初彼氏は、好きでもない人だった。
先輩と付き合い始めても、颯斗の私への態度は変わらなかった。
彼も私のことを親友だと認めてくれていると、ホッとしたのを覚えてる。
颯斗といる時が楽しければ楽しいほど、ほかの誰かといる時の私の心は冷えていった。
愛想笑いをして、相手に合わせて自分を偽って、笑顔を貼り付けて……そんな風に付き合っていたから、その時付き合っていた先輩とは数カ月で別れた。
『思っていたのと違う』
この言葉はその後付き合う相手が去り際に必ず落としていった呪縛の言葉だ。