キミのことは好きじゃない。
行きつけの、しかも地元の店。
店内には見知った顔も幾つかあった。
その数人に「久しぶり」と声をかけながら店の奥に進む。
山中のヒョロリと高く、それでいて華奢な肩を視界の端に見つけて近付いた。
「お待たせ、久し……?って、なんで……」
4人がけのテーブル席の、山中の隣に座っていたのは百田(ももた)。
高校の時のクラスメイトだ。
「阿藤、久しぶり」
「久し……ぶりって、え?どうして2人が」
山中と百田という組み合わせも不思議だった。2人は高校時代、犬猿の仲と言われるくらい相性が悪かったのに。
「まぁ、座れば?」
山中に促されて2人と向かい合う形で座った。
「ごめんね、急に呼び出して」
「そんなこといいよ。それより何か相談があるって……百田も関係あるの?」
私の問いかけに2人が顔を見合わせて……そして何故か照れた。
「いや、ちょっと待ってな?もう1人が来たら話すから」
もう1人?
首を傾げた直後、店の扉についた鈴が鳴って、そちらに視線を向けて……固まった。