キミのことは好きじゃない。
「颯斗!」
百田が颯斗の名前を呼んで手招きする。
颯斗はそれに気付き、そして私のことにも気づいた後少し驚いた表情をした。
なんでここに颯斗がくるの?
あの日以来会っていなかった。会おうともしなかった彼とこんな形で会うなんて予想できるわけがない。
「待たせてごめん……てか、何このメンバー」
私達がいたのは4人がけのテーブル席だ。必然的に颯斗は私の隣に腰掛けて、そして目の前に並ぶ2人を見た。
「こっちこそごめんね。急に2人を呼び出して……あのね」
山中は一度百田を見て、そして口を開いた。
「うちらさ、今度結婚するんだわ」
そう言って、山中と百田はヘラッと笑った。
高校時代犬猿の仲だった2人が付き合っていたという事実にも驚いたけれど……結婚?
「お、おめでとう……て言うか、全然知らなかったよ。いつから?」
なんとか口を開いて問えば、山中が少し困った顔をして自分のお腹を撫でる。
代わりに口を開いたのは百田だ。
「実は、交際3ヶ月で……所謂デキ婚ってやつ?」
「「はぁぁぁぁ?」」
思わず声をあげたら、颯斗ともかぶってしまった。