キミのことは好きじゃない。
「お、さすが息ピッタリ。健在で何よりだよ」
百田の揶揄いを含んだ声音に、ジロッと睨みをきかせた。
「デキ婚って……」
「いやさ、春に偶然会ってさ、高校時代の思い出話に花が咲いて……ちょっと飲み過ぎたのかなぁ。気付いたら俺の部屋で……うん、まぁそういうことだ」
ヘラヘラしながら真剣味のカケラもない百田の様子に不安になって山中を見た。
「あはは。阿藤ってば、顔怖いよ。百田のこういう軽い所昔から嫌いだもんね、阿藤は。」
「山中だって、そうだったじゃない」
チャラチャラしてて、ヘラヘラしてるところが気に食わなくて喧嘩ばかりしていたくせに。
そんな相手とそういうことしちゃう事もあれだけど、結婚まで。
後悔しないの?って不安にもなるよ。
「大丈夫、後悔しないから」
私の考えを読んだみたいに、山中は真面目な顔でそういう。
でも……。
「俺らが口出すことでもないし、2人で決めたことなら……いいんじゃないか?実際目出度いことなんだし」
隣で颯斗は穏やかな口調で言ってから……私を見た。
「そりゃ、2人がそれで幸せになれるなら」
渋々だけど頷く。