キミのことは好きじゃない。



「それで?今日俺らを呼んだのは、その報告をわざわざ?」


展開に驚いて呼ばれた理由を忘れてしまっていた私とは違い、あくまで冷静な颯斗が尋ねる。


「結婚式、地元でやろうと思って。で、結婚式のスピーチを2人に頼みたいの」


「は?スピーチ?」


「なんで私らに?」


「私達さ、デキ婚のスピード婚じゃない?やっぱり少し不安がないと言ったら嘘になる。絆の強さとか、そういうの全然感じられないし。でも、高校時代からずっと変わらない2人の絆って憧れるの。羨ましいのよ。だから、そういうので験担ぎしたいのよね」


山中の頼りなさげに笑う様子に言葉も出てこない。


今しがた大丈夫と言い切った山中も、不安がないわけじゃないんだ。


「……俺は、いいよ。スピーチやっても」


隣で颯斗が諦めたように息を吐く。


「……私もやるよ。2人には幸せになって欲しいよ。生まれてくる子供のためにも」


2人でスピーチをすることを請け負って、安心した顔して喜ぶ山中達を見てたら、本当に2人には幸せになって欲しいと強く思った。


験担ぎなんて、大層なことできないけど、祈るくらいなら私にだってできるし。






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