キミのことは好きじゃない。
何も言わず、俯いて私の腕を解放した。
安心した?
多分颯斗は、あの日からずっと罪悪感を感じていたんだ。
せっかくできた彼女と、幸せに過ごせるはずだったのに、私なんかと一緒にあの夜お酒を飲んだりしなければ、そんな風に苦しむ事もなかったのに。
私が未練たらしく『親友』なんて言いながら、浅ましい感情を捨てきれずにいたから……。
だからあんなことになった。
悪いのは私なんだから、気にしなくてよかったのに。
あんな風に悩ませた私なんてさっさと友達の縁すら切ればよかったんだよ。
優しすぎるから、こんな風に私みたいな女に押し切られちゃうんだよ。
バカ颯斗。
バカは、私もだ。
もっと早く会えばよかった。逃げずに今の話を早くしてあげればよかった。
遅かれ早かれ傷付くのはほんの少しの間だけなんだから。
これで颯斗は思う存分彼女と幸せになれるんだから。