キミのことは好きじゃない。
Friend:Ⅴ
「俺さ、あの時、席替えのくじ引きの時さ」
「くじ引き?」
「そう。初めての席替えはくじ引きだったの、覚えてねぇの?」
そうだったかな?記憶が曖昧だ。
記憶力悪いなぁ、と笑う颯斗の顔が幼く見えて、なんだか可愛い。
「担任が箱持って来てさ、くじに書かれた番号の席に座っていったんだよ」
颯斗が記憶を辿るようにゆっくりと話してくれる。
「女子が先に席に着いてさ……百合はその席に座ってた。窓側の前から5番目。くじの番号は、33番」
「よく覚えてるね、番号まで」
「覚えてるに決まってる。俺、あの時から自分の中のラッキーナンバーは3だから」
「……ラッキーナンバー?」
「で、話は戻るけどさ。あの席替えの時に俺はズルをしたんだ」
颯斗がなにを話したいのか分からないまま、彼の話を黙って聞き続けた。
「本当は、百合の隣に座れていたのはさ、当時の委員長だったんだぜ」
「え?だって、颯斗の番号確かにその席のだったよね」
「だから、ズルしたんだって。委員長に強引に変わってもらったの。放課後仕事を手伝うって約束までさせられたけどな」
「なんでそんな……」
「そんなの決まってる。……百合の隣に居たかったからだろ。分かれよ、そんくらい」
鈍いなぁ……と溜息を吐く颯斗を見ていて徐々に浮き上がる1つの結論。
そんなの、嘘でしょう?