キミのことは好きじゃない。
自惚れそうになる気持ちを、無理矢理押し込めて「なに言ってんの」なんて笑って見せても、心の中では早鐘が打ち鳴らされていた。
そんなはずない。そんなわけない。
そう繰り返してみても、もしそれが私の望む答えであればいいと願う卑しい自分に辿り着いてしまう。
ねぇ、颯斗。
どうしてこの場所で、そんな話をするの?
聞きたい。
聞いてもいいんだろうか?颯斗の気持ちを聞いても……。
「……勘違いするよ」
「え?」
ええい、ままよ!
そんな言葉を心の中で叫んだ気がする。
「そんな話を聞いたら勘違いするって言ってるの!」
「……どう勘違いするっていうんだ?」
意外にも真面目に聞き返されてしまった。
そんな風に返されたら、もう聞くしかないよ。
「……颯斗が私のことを……」
「好きだったよ」
最後まで言わせず颯斗からその言葉は放たれた。
「……颯斗?」
「好きだった……百合のことが。初めてこの教室で百合を見た時から、ずっと好きだったよ」
好きだった。
そう繰り返す颯斗の言葉を聞きながら、信じられない思いで彼を見つめた。