キミのことは好きじゃない。
「なんだよ、その顔。俺の言葉は信じられないって……そんな顔してる」
「え……?」
驚いているのは本当。
だって信じられなくて。ずっとずっと私の片想いだって思っていたから。
あの日、部活の先輩を紹介された時、颯斗の中で私はただの友達なんだって。それ以上でもそれ以下でもないって、そう決定打をくらったあの日から、私はずっと一方通行の想いを抱えて来た。
「まぁ、百合にとって俺はただの男友達だったって嫌でも思い知ったけどな」
「え……なによ、それ」
「なにそれ、じゃねーよ。好きなヤツはいないって言ってたから安心して嫌々頼まれた先輩のこと紹介したら、あっさり付き合いだしてよ。俺はあの後3日はまともに寝れなかったんだからな」
「信じられない。私は颯斗がマネージャーとのことを協力する代わりに私を先輩に紹介したって聞いたのよ?なんで颯斗が落ち込んだりするのよ!」
あの頃感じたショックを思い出して、理不尽な憤りが沸き起こる。
「なんでマネージャーが出てくるんだよ。てか、なんでそんな嘘に簡単に騙されるんだよ。分かんだろ?俺が誰を好きか、どれだけ一緒にいたと思ってるんだ」
「……分からないよ!分かるわけないよ。何も言わなかったじゃない。颯斗の気持ち、何も言われてないのに分かるわけない……」
気持ちが昂ぶっていく。気付けば涙まで溢れて来た。