キミのことは好きじゃない。
颯斗から根掘り葉堀り彼女のことを聞きながら、気付けば目の前には空になったビールジョッキが数本と、いつ頼んだのか覚えていない冷酒の徳利が並んでいた。
お酒は強い方だと思う。酔いはしても記憶をなくしたことはないし、二日酔いにだってなったことなかった。
颯斗はザルで、私より更に上をいく酒豪だ。
お互いにお酒が強いことも親友を継続していける要因の1つだったと、私は思ってた。
「颯斗……大事にしなよね、そのコのこと」
「……分かってるよ」
そう言って、ちびりちびりと冷酒を飲む颯斗の横顔に、なぜだか今日は見惚れてしまった。
好きな子のことを話す男の人って、みんなこんな表情をするのかな、なんて思いながら。