眠り姫は夜を彷徨う
それでも、己の中にくすぶる僅かなしこりには目を瞑ると、こちらの苦労も何も知らない無邪気な少女に笑顔を向けた。
「どうしても何も…。ここオレん家なんだけど」
「え?」
すると、途端に自分の今の状況の異変に気付いたのか、辺りをきょろきょろと見渡し、見る見る間に大きな瞳をもっと大きくさせた。
「えええええーーーーっ!?」
そうして紅葉は、やっと自分の置かれている状況を把握したのである。
眠っていたとはいえ、裸足のまま庭に降りてしまっていた紅葉に桐生は「とりあえず一旦部屋に上がれ」と言って足拭き用のタオルなどを用意をしてくれた。その時、桐生も自分と同様に靴を履いていなかったことに初めて気が付いた。起き抜けに少々暴れてしまったという話だったから、慌てて止めに入ってくれたのかも知れない。
そんな場面が容易に想像出来てしまって、何だか本当に申し訳ない気持ちになった。
和室に通され、昨夜からの出来事を桐生たちから詳しく聞いている間も、紅葉はずっと話に耳を傾けながら正座したまま固まっていた。その内容が自分のことながら、あまりに信じ難いものであったから。
自分が夜な夜な出歩いていることは知っていた。だから、昨夜は簡単に部屋を出られないように警戒していたのに。
(結局、バリケードなんか意味なかったってことだよね…)
現在の自分の部屋の惨状を想像するだけで頭が痛くなった。
それに、今までなら外でそのまま通常の眠りに戻るなんてことは一度たりともなかった筈なのに。昨夜に限って気を失うように眠ってしまっただなんて、どれだけ迷惑を掛ければ気が済むのか。
「どうしても何も…。ここオレん家なんだけど」
「え?」
すると、途端に自分の今の状況の異変に気付いたのか、辺りをきょろきょろと見渡し、見る見る間に大きな瞳をもっと大きくさせた。
「えええええーーーーっ!?」
そうして紅葉は、やっと自分の置かれている状況を把握したのである。
眠っていたとはいえ、裸足のまま庭に降りてしまっていた紅葉に桐生は「とりあえず一旦部屋に上がれ」と言って足拭き用のタオルなどを用意をしてくれた。その時、桐生も自分と同様に靴を履いていなかったことに初めて気が付いた。起き抜けに少々暴れてしまったという話だったから、慌てて止めに入ってくれたのかも知れない。
そんな場面が容易に想像出来てしまって、何だか本当に申し訳ない気持ちになった。
和室に通され、昨夜からの出来事を桐生たちから詳しく聞いている間も、紅葉はずっと話に耳を傾けながら正座したまま固まっていた。その内容が自分のことながら、あまりに信じ難いものであったから。
自分が夜な夜な出歩いていることは知っていた。だから、昨夜は簡単に部屋を出られないように警戒していたのに。
(結局、バリケードなんか意味なかったってことだよね…)
現在の自分の部屋の惨状を想像するだけで頭が痛くなった。
それに、今までなら外でそのまま通常の眠りに戻るなんてことは一度たりともなかった筈なのに。昨夜に限って気を失うように眠ってしまっただなんて、どれだけ迷惑を掛ければ気が済むのか。