眠り姫は夜を彷徨う
珍しくカーテンが少し引いてあるな…とは頭の片隅で認識していたものの、しっかり囲ってもいなかったので、まさかそこに人が寝ているとは思わなかった。
教師が止めるのと、ベッドのすぐ傍へと踏み込んだのはほぼ同時だった。
「…おっと!悪いッ」
咄嗟に詫びを入れたものの、そこには一人の女子生徒がこちらに気付くことなく眠っていた。
「………」
それは美しい寝顔だった。
レースのカーテン越しに照らす柔らかな光に包まれ、長い睫毛が目元に影を落としている。
素直に綺麗だなぁと思うのに、その表情はどこか幼さを残していて未だあどけない。
柄にもなく思わず釘付けになり立ち止まっていると、後ろから教師に咎められた。
「こら、桐生くんっ!女の子の寝顔をそんなまじまじと見てちゃ駄目でしょっ。ほら、こっち!」
そうして引き離されるように後方へと引っ張られ、すぐさま彼女の周りを見えないようにカーテンで覆われてしまう。
まるで敢えて覗いたとでも言うような口振りに、
「別に。まじまじと見てなんかねェし。それに今のは完全に事故だろ」
そう言いながら、今度は別の空いてるベッドへと足を向けた。
だが、何だか今ので眠気も何処かへ飛んで行ってしまったような感じだ。
それでもとりあえずベッドに腰掛けると、教師はその女子生徒の様子を伺っているようだった。
「なに?その子、具合悪いの?」
何となく気になって聞いてみる。
すると、教師が僅かに声を落として言った。
「頭痛がね、酷かったみたいなの。かなりフラフラでここに来たんだけど薬が効いたのかな。今は良く眠ってるわね」
「ふーん…」
教師が止めるのと、ベッドのすぐ傍へと踏み込んだのはほぼ同時だった。
「…おっと!悪いッ」
咄嗟に詫びを入れたものの、そこには一人の女子生徒がこちらに気付くことなく眠っていた。
「………」
それは美しい寝顔だった。
レースのカーテン越しに照らす柔らかな光に包まれ、長い睫毛が目元に影を落としている。
素直に綺麗だなぁと思うのに、その表情はどこか幼さを残していて未だあどけない。
柄にもなく思わず釘付けになり立ち止まっていると、後ろから教師に咎められた。
「こら、桐生くんっ!女の子の寝顔をそんなまじまじと見てちゃ駄目でしょっ。ほら、こっち!」
そうして引き離されるように後方へと引っ張られ、すぐさま彼女の周りを見えないようにカーテンで覆われてしまう。
まるで敢えて覗いたとでも言うような口振りに、
「別に。まじまじと見てなんかねェし。それに今のは完全に事故だろ」
そう言いながら、今度は別の空いてるベッドへと足を向けた。
だが、何だか今ので眠気も何処かへ飛んで行ってしまったような感じだ。
それでもとりあえずベッドに腰掛けると、教師はその女子生徒の様子を伺っているようだった。
「なに?その子、具合悪いの?」
何となく気になって聞いてみる。
すると、教師が僅かに声を落として言った。
「頭痛がね、酷かったみたいなの。かなりフラフラでここに来たんだけど薬が効いたのかな。今は良く眠ってるわね」
「ふーん…」