眠り姫は夜を彷徨う
思惑と葛藤
いつも通りの朝。
いつもと同じ時刻に家を出て、学校までの道のりを圭ちゃんと一緒に歩く。
今朝は、どんよりとした重たい雲が空一面に広がっていて、いつ雨が降って来てもおかしくない感じの天気だった。
折り畳み傘にしようか少し迷ったけれど長い傘を持って出て正解だったみたいだ。圭ちゃんも長い傘だったし、周囲を歩く人も殆どの人が傘を持参していてちょっぴり安心する。
「ここ二、三日は天気悪いらしいね」
圭ちゃんが灰色の空を見上げながら言った。
「そうなんだ?じゃあ明日のスポーツテストは無理そうかもね」
丸一日授業が潰れるから、ちょっと嬉しかったんだけど。
「うーん。明日は難しいかもねー」
そんな何気ない会話をしながら歩く。
でも今日は道中どちらもクラスの友人たちと会うことなく学校まで辿り着いた。
誰かに遭わない限りは敢えて離れるようなことはしない。普通に二人並んで門をくぐる。
頭の隅で珍しいな…なんて思っていたその時だった。
「おう」
後ろから軽く肩を叩かれる。
振り返ると、そこには最近すっかり顔見知りになった上級生が立っていた。
以前、保健室で出会った桐生さんという人だ。
「あ、おはようございます」
ペコリと頭を下げると彼は「はよ」と軽く手を上げて立ち止まってる私たちをさり気なく追い抜いて行った。
そんな様子を横で見ていた圭ちゃんが彼の姿を目で追いながら小さく尋ねて来る。
「…今の誰?上級生、だよね?」
「あ、うん。桐生さんっていうんだ。私も名前は知らなくてクラスの友達に教えて貰ったんだけど…。校内では結構な有名人らしいよ」
いつもと同じ時刻に家を出て、学校までの道のりを圭ちゃんと一緒に歩く。
今朝は、どんよりとした重たい雲が空一面に広がっていて、いつ雨が降って来てもおかしくない感じの天気だった。
折り畳み傘にしようか少し迷ったけれど長い傘を持って出て正解だったみたいだ。圭ちゃんも長い傘だったし、周囲を歩く人も殆どの人が傘を持参していてちょっぴり安心する。
「ここ二、三日は天気悪いらしいね」
圭ちゃんが灰色の空を見上げながら言った。
「そうなんだ?じゃあ明日のスポーツテストは無理そうかもね」
丸一日授業が潰れるから、ちょっと嬉しかったんだけど。
「うーん。明日は難しいかもねー」
そんな何気ない会話をしながら歩く。
でも今日は道中どちらもクラスの友人たちと会うことなく学校まで辿り着いた。
誰かに遭わない限りは敢えて離れるようなことはしない。普通に二人並んで門をくぐる。
頭の隅で珍しいな…なんて思っていたその時だった。
「おう」
後ろから軽く肩を叩かれる。
振り返ると、そこには最近すっかり顔見知りになった上級生が立っていた。
以前、保健室で出会った桐生さんという人だ。
「あ、おはようございます」
ペコリと頭を下げると彼は「はよ」と軽く手を上げて立ち止まってる私たちをさり気なく追い抜いて行った。
そんな様子を横で見ていた圭ちゃんが彼の姿を目で追いながら小さく尋ねて来る。
「…今の誰?上級生、だよね?」
「あ、うん。桐生さんっていうんだ。私も名前は知らなくてクラスの友達に教えて貰ったんだけど…。校内では結構な有名人らしいよ」