眠り姫は夜を彷徨う
慌てて身支度を整えて自分も更衣室を出ようとした、その時。
「如月さん」
突然、後ろから声を掛けられ驚き立ち止まった。
振り返ると、そこには先程顔を覚えたばかりの隣のクラスの少女が一人立っていた。
「えーと…。磯山、さん?」
だったよね?
さっき、タカちゃんとあんな話をしていただけに少々気まずい。それに敵対意識を持たれているかも知れないと思うと、心なしか緊張してしまう。
彼女は小さく頷くと笑顔で口を開いた。
「さっきはごめんなさい。急にあんなボールが飛んで来たら…流石に驚かしちゃったよね?」
意外にもしおらしく謝りを入れてきた彼女に、紅葉は目を丸くした。
「えっ?…あ、ううん。大丈夫だよっ。ビックリしたけど頭とかには当たらないで済んだし…」
(もしかして…わざわざ謝るために待っててくれたのかな?)
周囲にはもう他に誰の姿もなく、自分たちの声だけが更衣室内に響いている。
本当はタカちゃんが言うほど悪い人じゃないのかも。そう思い始めていた時、彼女の表情に変化が見られた。
「ほーんと。悪運だけは強いよね、如月さんて」
「…えっ?」
思わず耳を疑うような台詞が聞こえて来て反射的に聞き返したものの、彼女は普通に笑顔を浮かべていた。
「あ、ううん。何でもなーい。こっちのハナシ」
「………」
「でもね、ボールを投げたのはワザとじゃないのよ。それだけは信じて。ただ…、私って昔から自分の立場を理解してないKYな子を見ると許せないんだ。そうすると、つい…自然と手が出ちゃうことがあるのよね。自分の無意識下で、さ」
「如月さん」
突然、後ろから声を掛けられ驚き立ち止まった。
振り返ると、そこには先程顔を覚えたばかりの隣のクラスの少女が一人立っていた。
「えーと…。磯山、さん?」
だったよね?
さっき、タカちゃんとあんな話をしていただけに少々気まずい。それに敵対意識を持たれているかも知れないと思うと、心なしか緊張してしまう。
彼女は小さく頷くと笑顔で口を開いた。
「さっきはごめんなさい。急にあんなボールが飛んで来たら…流石に驚かしちゃったよね?」
意外にもしおらしく謝りを入れてきた彼女に、紅葉は目を丸くした。
「えっ?…あ、ううん。大丈夫だよっ。ビックリしたけど頭とかには当たらないで済んだし…」
(もしかして…わざわざ謝るために待っててくれたのかな?)
周囲にはもう他に誰の姿もなく、自分たちの声だけが更衣室内に響いている。
本当はタカちゃんが言うほど悪い人じゃないのかも。そう思い始めていた時、彼女の表情に変化が見られた。
「ほーんと。悪運だけは強いよね、如月さんて」
「…えっ?」
思わず耳を疑うような台詞が聞こえて来て反射的に聞き返したものの、彼女は普通に笑顔を浮かべていた。
「あ、ううん。何でもなーい。こっちのハナシ」
「………」
「でもね、ボールを投げたのはワザとじゃないのよ。それだけは信じて。ただ…、私って昔から自分の立場を理解してないKYな子を見ると許せないんだ。そうすると、つい…自然と手が出ちゃうことがあるのよね。自分の無意識下で、さ」