眠り姫は夜を彷徨う
「好きって…」
「そのままの意味だよ。本宮くん、今彼女とかいないよね。だから、私と付き合って貰えないかな?」
そろそろ予鈴が鳴る時刻。昇降口を目の前にしての突然の告白。
驚きに思わず足を止めてしまったけれど、周囲には既に生徒はまばらで。このままでは遅刻してしまいそうだ。
本来なら本鈴が鳴るまでは遅刻にはならないのだが、圭は普段から予鈴が鳴るまでには教室に着いていないと落ち着かない質なので、内心では少々焦り始めていた。
それでも、こんなに遅い時刻になってしまったのは、自分がボーっと自らの意識に囚われていたのが原因なのだが。
だが、目の前の彼女は時間のことなど気にする様子も見せず、期待を込めたような瞳でこちらの返事を待っている。
でも、その気持ちに応えることは出来ないから…。
「ごめんね、磯山さん…。気持ちは嬉しいんだけど、僕には好きな人がいるんだ。だからキミとは付き合えない」
ハッキリ、きっぱり、そう返した。
曖昧な言葉で変に期待を持たせても悪いし、自分は紅葉を好きな気持ちを諦めることなんて出来ないから。
すると、彼女は顔を歪めて複雑な表情を浮かべた。
もしかしたら、断られるとは思っていなかったのかも知れない。「何で…」と声にならない呟きを口にする。
その気まずい視線と空気に耐えられなくて「ごめん…」そう言って彼女に背を向け、昇降口へと歩み始めたその時だった。
「本宮くんが好きな子って、如月さんでしょう?」
思いのほか、強い口調で思わぬ言葉が返ってきて。
再び足を止めて振り返った先には、何処か勝ち誇ったような強気な顔をした彼女が笑みを浮かべてそこにいた。
「そのままの意味だよ。本宮くん、今彼女とかいないよね。だから、私と付き合って貰えないかな?」
そろそろ予鈴が鳴る時刻。昇降口を目の前にしての突然の告白。
驚きに思わず足を止めてしまったけれど、周囲には既に生徒はまばらで。このままでは遅刻してしまいそうだ。
本来なら本鈴が鳴るまでは遅刻にはならないのだが、圭は普段から予鈴が鳴るまでには教室に着いていないと落ち着かない質なので、内心では少々焦り始めていた。
それでも、こんなに遅い時刻になってしまったのは、自分がボーっと自らの意識に囚われていたのが原因なのだが。
だが、目の前の彼女は時間のことなど気にする様子も見せず、期待を込めたような瞳でこちらの返事を待っている。
でも、その気持ちに応えることは出来ないから…。
「ごめんね、磯山さん…。気持ちは嬉しいんだけど、僕には好きな人がいるんだ。だからキミとは付き合えない」
ハッキリ、きっぱり、そう返した。
曖昧な言葉で変に期待を持たせても悪いし、自分は紅葉を好きな気持ちを諦めることなんて出来ないから。
すると、彼女は顔を歪めて複雑な表情を浮かべた。
もしかしたら、断られるとは思っていなかったのかも知れない。「何で…」と声にならない呟きを口にする。
その気まずい視線と空気に耐えられなくて「ごめん…」そう言って彼女に背を向け、昇降口へと歩み始めたその時だった。
「本宮くんが好きな子って、如月さんでしょう?」
思いのほか、強い口調で思わぬ言葉が返ってきて。
再び足を止めて振り返った先には、何処か勝ち誇ったような強気な顔をした彼女が笑みを浮かべてそこにいた。