【完】ファーストキス、投げ出して。

「あの。」



「ん?」



確認、しないと。
この人があの時の人だって分かってる。
でも、確証がないから。
違ったらどうしよう……。
でも聞かずにはいられない。



「……勘違いじゃなかったら__」



「勘違いじゃねえよ。」



「……っ!」



「久しぶり。2年ぶりか?」



……覚えてた。
間違いじゃなかった。
忘れてないの、私だけじゃなかった。
私だけの思い出に、なってなかった。



「まさか同じ学校になると思わなかった。」



「うん。」



「お前、ここらへんに住んでたんだな。」



「そっちは?」



「俺、隣の県。
 案外近かったな。」



「そうだね。」



なにを、話せばいいのか分からない。
何一つ、分からなくて。知りたくて。
聞きたいことはたくさんあって。
でも、焦って。声が出ない。



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