【完】ファーストキス、投げ出して。
「中1の時からずっと好きなやつがいて。
 最近結構いい感じだったからさ。
 イケるんじゃねって思って。
 さっき告白した。
 そしたら、俺じゃなくて好きなの。
 友達の方だった。
 修旅中でさ、今。
 気まずくて抜けてきた。」



よく修学旅行中に告白したな。
その頑張りと勇気には敬礼ものだけど。
いや、タイミングでしょ。


やっぱデジャヴ、なにこれ。
失恋スポットなの、ここ。
やばいでしょ。



「お前は?」



「あー……。
 好きな人がセンパイで。
 一か月前の卒業式の時に告白したの。
 そしたら妹にしか見れないって振られて。
 でもずっと忘れられなくて。
 センパイのまわったルート辿ってたんだけどむなしくなって。
 ここに来た……みたいな。」



「痛いな、お前。
 若干引いた。」



「うるさい。」



痛い事くらい自分がよくわかってるし。
自分でも若干引いてるわ。


でも仕方ないじゃん。
それくらい好きなんだから。
そう簡単に忘れられるかっつうーの。


好きだよ、センパイ。
くしゃって笑う顔も、低い声も。
角張った男の人らしい身体つきも。
その瞳も、全部。


思い出すだけで泣きそうになる。
全然ふっきれてない。


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