あの野球場で
「無理?」

「俺、試験受からなかったから、直ぐに就職もできなくて、だから、」

「え? 来年もう一回、試験を受けるんでしょ?」

「俺、もうこの試験は諦めて、専門学校に入る事にしたんだ。システムエンジニアの資格というか技能をつけたくて」

「システムエンジニア」と、ひぃらは大切なものを両手にくるむように呟いた。

「そう、二年はかかるし、だから、一年じゃ、ひぃらを、さらいに行けないんだ」

「待てない。そんなに待てないよ。」

「でも、俺にはもうこれしかないんだ。」

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