雨の日に傘をさして、きみにアイにくる。

∟忘れていた記憶






いつもなら話して帰っているこの道も、何故か今日は、お互いに何も話さない。



なんだろう...。
緊張...なのかな。
気まずさ...なのかな。




そんなことを思いながら歩いていると。


――ポタリ


私の鼻に、上から何か小さな雫が落ちてきた。




上を見上げると、いつの間にか灰色になっていた雲から、小さな雫たちが一粒一粒と、降ってきた。




「やべ、降ってきた」




太陽が呟いたように言う。




このままじゃあ、私の家に着く前にお互いずぶ濡れになっちゃう。



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