伊東さんの運命の相手はクズでした。




「来てくれたんですね。ささっ、どうぞどうぞ座って下さい」


「すみません、兄がご迷惑をかけてしまって」


「妹さんからもお願いしますよ!目を離すと直ぐ出歩こうとするんです!次やったら手錠かけますよ!そう言うプレイは好きじゃないのに!」


ぷりぷりと怒りながら良い尻を揺らす看護師さん(推定50代前半)に
「本当にすみません」
「私もよく言っておきます」
「はい、もうその通りでございます」等の台詞を繰り返して解放されるまで15分はかかった。




完全に気配を消した愚兄は見舞いでもらってであろう品物を物色してた。


なんでお前生きてんだよ本当。



「ユイちゃんも食べます?僕の友人がついさっきまで来てくれて大量に甘いもの差し入れてくれたんですよ」



いつものスクエア型のメガネはお陀仏になった為、予備のオパール型に少し違和感があったが笑顔はいつも通り優しかった。
それに少し安心する。



「・・・じゃあ、1つ貰う」



「好きなもの選んでください」と渡された紙袋の中には予想を上回る量の甘いお菓子。



しかもどれも有名なお店の。
差し入れし過ぎじゃない?


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