伊東さんの運命の相手はクズでした。
イケメンだから嬉しくて、とかそうじゃない。
寧ろ逆だ、逆。
「初めまして、お兄さんの主治医を担当させて頂いている遠藤とおー・・・・・・・・・・・・・・・」
漸く相手も気付いたよう。遅いわ。
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「ど、どうしたんですかお2人とも」
「・・・兄ちゃん、今すぐに病院を移ることを勧める。いや、移ろう、うん」
ダメよダメダメ。絶対にダメ。
この人に兄は任せてられない。
やっぱり遠くても大きな病院の方が良かったんだ。
「えぇっ!?けど遠藤先生とても良い人ですよ」
「・・・良い人ぉ?」
こいつが?
男のあの時と変わらない笑みが直ぐに過去に引きずり戻す。
────ごめん、こいつと寝ちゃった
反省の色を一欠片も見せない笑顔。
兄よ、1つ妹から教えたい。
人の彼氏を寝取る男が良い人な訳が、ない。