伊東さんの運命の相手はクズでした。
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あれからバイトがある親友と別れ私はとある場所に向かっていた。
怪我や病気をしなければ年に数回しか行かない建物へ。
消毒液の匂いは慣れないけど新鮮である。
「伊東さんお願いですからジッとして下さい!あなた今自分のご容態分かってますか!?」
「そ、そう言う訳にもいかないんですよ!僕の長年追っかけていた友人がこんなに近くにいるのに寝てろって言うんですか・・・!?シャッターチャンスがぁああ!」
「フォッフォッ、お兄さんや元気やのぉ」
「田中さん感心してる場合じゃないんですよ!」
「シャッターチャンスぅぅうううう!」
「きゃぁあああ!」
病室の前のドアだと言うのにその向こうの現状がいとも容易く想像出来る。
一応ネームプレートを確認するけど前来た時と変わらずその名前はあった。
私は1つ小さく溜め息を吐いてから静かにドアを開けた。
「誰かぁー!この人を止めてぇー!」
「・・・兄ちゃん」
「あっ、ユイちゃん!来てくれたんですか!」
私を見れば急に大人しくなったこの男。
紹介しよう。
今、全身包帯だらけで看護師さんに多大なるご迷惑をおかけしているのが私の兄、伊東結太(ユウタ)である。